オ レンジ色が美しいフィンフェルリ茸、ルビー色に輝くベリー類、限りなく深いダークブラウンのエスプレッソ等を、ポエティックに演出するのがジョルジア・ブルネッリのテーブルウェア: Giovelab。北イタリア、スガーナ渓谷の自然に囲まれたカルドナッツオ湖を臨む、彼女のアトリエ。そこから生まれる、白をベースにした温 もり感のあるフォルムと、和食器にも通じるニュアンスが特徴の食器達。見た目のかわいらしさだけではなく、あくまでテーブルウェアとして、日常生活の中で 使いやすいことが、彼女のこだわりです。
偶然のようにも見える少し歪んだ形は、彼女が納得いくまで何度も試作して、自ら暫くの間使ってみて、手に馴染みやすい形、唇に当たった時の感覚など、5感の全てを満足させられるようにデザインされ、手が加えられています。恐らくジョルジア本人が一 番厳しい、彼女自身の作品の批評家なのではないでしょうか。
そうして出来上がった彼女の食器達は、山間部のアルプスらしい、木材をふんだんに使った家にも、イタリアの都市の重厚な建物や、ガルダ湖畔に建つリバティーハウスにも、不思議と馴染んでいます 。
“自然と大地の恵みが、沢山のインスピレーションを与えてくれる。むしろ、それだけで十分過ぎるかもしれない。勿論、考古学や記号学のようなものにも惹かれるし、もしかしたら、本などからも気づかずに影響を受けているのかもしれないけれど。”
今朝摘んだばかりの、清々しい香りを放つ野の花と、その横に置かれた、読みかけのジェームス・ヒルマンのエッセイを前にして、ジョルジアはこう言います。
“それから、作ったアイテムを通して、世界と会話が出来る事に気づいたの。例えば、このティーカップが誰かの手に渡った時に、ティーカップ以上のもっと他の意味を持ったり…とかね。”
大 学にて語学を専攻した彼女は、1997年から独学で、陶磁器作家としてのキャリアをスタートしました。今では、マリ・クレール・メゾン等、数々のインテリア雑誌にも掲載されるまでに。かつて学んだ語学の知識も、フィンランドを始めとした海外進出を始めた今、とても役に立っているそう。 そんな華やかなキャリアを歩む彼女ですが、仕事について尋ねられて、磁器作家だと答えると、生活の為の仕事は何?と、多くの人に再度質問されるとのこと。 イタリアの小都市は、未だ保守的で、アーティスティックな職人として生きるという選択肢は、まだまだ理解されにくいというのが現実のようです。
“私には、自分自身が持っている力で、やりたい事を突き詰めたいという、とても強い欲求があるの。それから、イメージだったり、フォルム、釉薬などの素材を目 にした時に、強い感動を覚えるわ。これってクラフトの世界では、とても大切なこと。仕事という観点では、私の人生の中には、陶磁器以外は存在し得ないと思 うの。自分自身の心に忠実に、確信を持って夢を追いかければ、そこに何かが生まれる。勿論、膨大な仕事量や、努力しなければならないことは沢山あるけれ ど。素材やフォルム、色、安定感、使いやすさの追求、それから洗練されたブランドイメージと、顧客や販売店の関わり、カタログによるイメージなどを徹底す ることとかね。”
長い間、楽焼きの作家として活動したジョルジア。年が経過するにつれ、手軽な焼き物として、多くの人が参入してきたこと と、器としての脆さから、実用性に向かないという楽焼きのハンディキャップに悩んだ彼女は、高温で焼くポーセリン(1250-1260度)の制作へと、方向転換しました。同じ頃、PRを行うアレッサンドラ・サンティとの出会いも重なり、ハイクオリティーのポーセリンと、いくつもの種類の釉薬を使って、全て の行程を丁寧な手作業で行った、食洗機も使用可能なテーブルウェアのコレクション:Giovelabが誕生することになりました。
写真にも見られるように、楽焼きの経験の影響か、彼女の作る陶器には日本的なエッセンスが端々に見られます。
“日 本的なスタイルは、すごく好き。特に侘び寂びの思想、不完全な物に見出す詩的な概念は、とても身近に感じるの。北欧スタイルも好きだけど、ロマンティック な南欧スタイルと掛け合わせて、良いバランスを作れたら良いなと思う。スタイルや世界観、感性の異なる物を、少々アイロニーも込めてミックスして作った、 多方に入り口や出口があるスタイルって、すごく惹かれない? 今年の秋からスタートする北欧での販売で、そんな面白いミックス感を創り出せそうだなって、 思っているのよ。”
大の紅茶好きで、お菓子作りが得意なジョルジア。彼女自身のロハスなライフスタイルと、イタリアで最も長い冬を過ごす、 この地方のあり方から、家の中での時間を豊かに演出して、さりげなく5感の全てを満足させる事が出来る、Giovelabのコレクションが生まれてくるのでしょう。
最後に、工芸作家として生きていきたいという人達に向けて、ジョルジア自身の経験から、こんなアドヴァイスを頂きました。
“も し、クラフトの世界で生きたいと思うなら、アーティストでいるだけではダメ。ひとりの起業家として、ビジネスの力が絶対に必要なの。カタログは、最も重要な物の1つだけど、イメージの選別や、説明書きも、人を一瞬にして惹き付けるものにしなくちゃいけない。只でさえ、多くのイメージやテキスト等の情報が溢 れている中で、そこに埋もれてしまわないようにね。それから、自分自身の創造性やアイディアを形にするだけではなくて、必要とされている物を理解して、それを満足させるクオリティーの高い物を作ることが重要だわ。”
そして、最も大切なのは、 “Follow your star. Always” いつでもあなたの☆を見失わないこと
Giovelab オフィシャルサイト http://cargocollective.com/giovelab
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